「外国人の親が亡くなったが、どこに相談すればいいかわからない」
「海外の不動産を相続することになったが、手続きの進め方が見当たらない」
——国際的な要素が絡む相続(国際相続)は、一般的な相続手続きとは異なる専門知識が必要なため、対応できる専門家が限られているのが現状です。
他の事務所や金融機関に相談しても「対応が難しい」と言われるケースも少なくありません。
このページでは、国際相続が発生する3つのパターンと、すべての案件に共通する「準拠法」の考え方を解説します。台湾・フィリピン・シンガポール・ハワイなど国別の詳細ページへのご案内、および当事務所の解決事例もあわせてご紹介します。
士業・金融機関の先生方からの紹介・連携のご相談も承っております。
国際相続(渉外相続)とは
国際相続の定義と該当するケース
国際相続(渉外相続とも呼ばれます)とは、相続に国際的な要素が絡む相続のことを指します。具体的には、以下のいずれかに当てはまる場合が該当します。
- 被相続人(亡くなった方)が外国籍であった
- 相続人の全員または一部が外国籍、または海外に居住している
- 相続財産の全部または一部が海外にある
関係者が全員日本人であっても、財産が海外にあれば国際相続となります。銀行預金・不動産・株式など、財産の種類を問いません。
「国際相続」「渉外相続」はどちらも同じ意味で使われます。このページでは「国際相続」に統一します。
国際相続が複雑になる理由
国際相続が複雑になる最大の理由は、「どの国の法律が適用されるか(準拠法)」がケースによって異なるためです。国内の相続であれば日本の民法だけを考えれば足りますが、国際相続では複数の国の法律が絡み、最初に「準拠法」を確定することが不可欠です。
それ以前の問題として、「誰に相談すればいいか」がそもそもわからないというケースが非常に多くあります。銀行・法務局・一般の士業事務所に問い合わせても「対応が難しい」と言われ、たらい回しになってしまうことも珍しくありません。
手続き面でも、外国の公的証明書を取得したうえで日本語訳を添付するなど、国内の相続よりも手間と時間がかかります。現地の専門家(弁護士・公証人等)との連携が必要になるケースも少なくありません。
⚠️「対応が難しい」と断られることも多い
国際相続は対応できる専門家が限られており、金融機関や一般の司法書士・弁護士事務所に相談しても「対応が難しい」と言われることが珍しくありません。当事務所では国籍・財産所在地を問わず、多くの国際相続案件を取り扱ってきた実績があります。
まず確認すべきこと:準拠法とは
通則法36条と本国法主義
準拠法とは、その相続に「どの国の法律を適用するか」を決めるルールのことです。国際相続では、準拠法を確定することがすべての手続きの出発点となります。
日本では 法の適用に関する通則法 第36条 により、相続は被相続人(亡くなった方)の本国法によると定められています。原則として、以下のように整理できます。
| 被相続人の国籍 | 相続に適用される法律(原則) |
|---|---|
| 日本人 | 日本の民法 |
| 米国人 | 米国の法律(州によって異なる) |
| 台湾人 | 中華民国民法 |
| 中国人 | 中国の相続法 |
| 香港人 | 香港法(英国法の影響を受けた制度) |
実際の準拠法は、居住地・生活の本拠・財産の所在地など個別の事情によって異なる場合があります。上記はあくまで原則であり、判断は専門家への確認が必要です。
財産所在地法が適用される場面
本国法が「誰がどのように相続するか」を決めるのに対し、財産がある国での実際の手続き(登記・口座解約・名義変更等)は、財産所在地の法律に従う必要があります。台湾の不動産であれば台湾の手続き、ハワイのコンドミニアムであれば米国ハワイ州の手続きが必要です。
また、米国・英国など分割主義を採る国では、不動産は所在地法、動産は被相続人の生活の本拠(domicile)の法が適用されるため、準拠法の判断がさらに複雑になります。
⚠️準拠法の判断を誤ると手続きのやり直しが生じます
準拠法を誤って手続きを進めると、書類の取り直しや手続きの最初からのやり直しが必要になるケースがあります。国際相続では、最初の段階で専門家に確認することを強くお勧めします。
国際相続の3つのパターン
国際相続は、どこに「国際的な要素」があるかによって、大きく3つのパターンに分かれます。まず自分のケースがどれに当たるかを確認することが、手続きの入口となります。
① 外国人が被相続人・日本に財産がある
亡くなった方(被相続人)が外国籍で、日本に不動産・預金・株式などの財産を残したケースです。出生・婚姻・離婚・認知など、身分関係の変動が外国で生じている場合は、その事実を証明する外国の公的書類(出生証明書・婚姻証明書等)の取得が必要になります。日本で長年生活していた外国籍の方でも、身分関係が外国で形成されていれば同様です。日本の戸籍のように一元管理された書類がない国も多く、書類の収集に時間がかかる場合があります。
例:米国人の親が日本に不動産を持ったまま亡くなった。相続人は全員日本人。
② 相続人が海外在住・日本の財産を相続する
相続人の全員または一部が海外に居住しているケースです。海外在住の相続人は日本の印鑑証明書が取得できないため、署名の証明方法は相続人の国籍によって異なります。
- 相続人が日本国籍の場合:在外公館(大使館・領事館)でサイン証明書・在留証明書を取得
- 相続人が外国籍の場合:現地の公証人等による署名認証が必要
いずれの場合も書類の取得や署名のやり取りに時間がかかることが多く、手続き全体のスケジュール管理が重要になります。
例:日本の不動産を残して親が亡くなったが、相続人全員が香港在住。
③ 海外に財産があり、その財産を相続する
被相続人・相続人ともに日本人であっても、台湾の不動産、フィリピンのコンドミニアム、ハワイの銀行口座など、財産が海外にある場合は、その国の法律に基づく現地手続きが必要です。日本の金融機関や司法書士事務所では対応できないと言われることが最も多いパターンです。
例:日本人の親がハワイにコンドミニアムを持ったまま亡くなった。相続人も全員日本人。
✏️複数のパターンが重なることもある
外国人の被相続人が海外にも財産を持っていた場合など、①と③が同時に発生するケースもあります。その場合は、日本の財産と海外の財産それぞれに異なる手続きが必要になります。
パターン別・国別の詳細解説
外国人が被相続人の場合(国籍を問わない共通解説)
外国人が被相続人となる相続では、準拠法の確定・外国書類の収集・日本語訳の準備が共通の論点となります。国籍によって必要書類・手続きの内容が異なるため、まずは被相続人の国籍を確認することが出発点です。
中国人が被相続人の場合
中国の相続書類は、中国公証処が発行する公証書を使用するのが正規の方法です。ただし、実際には公証書を取得できないケースが多く、その場合は代替書類による対応が必要になります。取得できるかどうかの見通しを早期に確認することが重要です。
台湾人が被相続人の場合
台湾の相続書類は台湾戸籍(中華民国戸籍)を中心に収集します。戸籍の記載が分断されている場合や、日本生まれで台湾戸籍に記載がないケースもあるため、早めの確認が重要です。
相続人が海外在住の場合
相続人が海外に居住している場合、日本国内だけで手続きを完結させることはできませんが、委任状や署名認証書類を活用することで、相続人が一時帰国しなくても手続きを進めることが可能です。詳細は現在解説記事を準備中です。ご不明な点はお気軽にお問い合わせください。
海外に財産がある場合:国別の詳細解説
海外に財産がある場合、その国の法律に基づく現地手続きが必要です。日本の手続きと並行して進めることになるため、現地の専門家(弁護士・不動産業者等)との連携が不可欠です。
台湾に財産がある場合
台湾の不動産相続は地政事務所での登記手続き、預金・銀行口座は各金融機関での手続きがそれぞれ必要です。不動産と預金の手続きを並行して進めるか順番に進めるかは、個々の状況によって判断が必要です。日本側の相続書類(遺産分割協議書等)の台湾での使用方法も確認が必要になります。
フィリピンに財産がある場合
フィリピンでは外国人による土地の所有は原則禁止されていますが、コンドミニアム(区分所有)については外国人名義での所有が認められています。投資目的でコンドミニアムを保有していた方の相続では、フィリピン税務当局(BIR)への申告とRegistry of Deedsでの名義変更手続きが必要になります。
シンガポールに財産がある場合
シンガポールに不動産・金融資産がある場合の相続手続きについては、詳細記事で解説しています。
ハワイに財産がある場合
ハワイ(米国ハワイ州)に不動産がある場合、米国法に基づくプロベート(遺産検認手続き)が必要になることがあります。現地の弁護士・不動産業者との連携のもと手続きを進めます。
解決事例
当事務所が実際に対応した国際相続の事例をご紹介します。
外国人被相続人
相続登記
他事務所・法務局で断られた米国人の相続案件を解決
米国籍の親が日本に不動産を残して亡くなり、相続人は全員日本国籍というケースです。他の事務所に相談したところ「対応が難しい」と言われ、法務局に相談しても手続きが進まない状況が続いていました。当事務所にご相談いただき、米国の相続書類の収集・日本語訳の手配から相続登記まで一括して対応し、無事に完了させることができました。
海外在住相続人
相続登記
相続人全員が香港在住・日本の不動産の相続登記を完了
税理士事務所からのご紹介案件です。日本に不動産を残して被相続人が亡くなりましたが、相続人は全員が香港在住(香港国籍)でした。海外在住の相続人との連絡・書類のやり取りを丁寧に進め、無事に相続登記を完了させることができました。
海外財産
ハワイ・プロベート
ハワイのコンドミニアムのプロベートから売却・遺産分割まで
税理士事務所からのご紹介案件です。被相続人・相続人ともに日本人で、ハワイにコンドミニアムを保有していたケースです。ハワイの弁護士・不動産業者と連携し、現地裁判所でのプロベート(遺産検認手続き)を実施。その後、不動産を売却して遺産分割を行いました。当事務所は現地専門家とのやり取りを全面的に担当しました。
当事務所の対応範囲と相談の流れ
当事務所では、外国人被相続人・海外在住相続人・海外財産の相続など、国際的な要素が絡む相続案件を幅広く取り扱っています。英語での対応が可能なため、外国籍の相続人・関係者がいる案件もスムーズに進めることができます。
また、税理士・弁護士・金融機関など他の専門家からのご紹介・連携も承っております。「対応が難しい」と感じた案件はお気軽にご相談ください。
✏️相談の流れ
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1
お問い合わせ
電話・メール・LINEいずれかでご連絡ください。オンラインでのご相談も対応しています。
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2
ヒアリング
被相続人・相続人の状況、財産の所在地・種類などをお聞きします。
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3
方針のご提案
準拠法の確認・必要書類・手続きの流れをご説明し、お見積りをお出しします。
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4
手続き開始
ご依頼後、書類収集・現地専門家との連携を含め、手続きを進めます。
国際相続のご相談はお気軽に
外国人が関わる相続・海外財産の相続など、まずはご状況をお聞かせください。オンラインでのご相談も承っております。
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