外国から証明書の取り寄せ

アメリカには戸籍がない?代わりとなる公的証明書とその取得方法

6月 28, 2024

事務所のサイトに「アメリカから死亡証明書の取り寄せ」という記事を書いてから、アメリカの死亡証明書を取れないかという問い合わせを、士業の方々からいただきます。その中には相続手続きで金融機関から「アメリカの戸籍を出すように」言われたけど「アメリカにも戸籍はありますか」という問い合わせもあります。

では、アメリカに戸籍はあるのでしょうか?無い場合、どうすればいいでしょうか?

アメリカには戸籍がない

結論をいうと、アメリカには戸籍はありません。日本のように出生から死亡まで、その間の家族関係を記録した書類がある国はほとんどありません。

戸籍制度が無くて一番困るのは相続手続きをするときです。戸籍があれば、戸籍を集めることで相続人を探索して特定することができますが、戸籍がないとそうはいきません。

戸籍に類似の制度があるのは韓国と台湾です。韓国にはかつて戸籍制度がありましたが、現在は廃止されていて、それに代わる家族関係を登録する制度があります。台湾には戸籍制度が残っていますが、日本の制度と全く同じわけではありません。それでも、これらの国では相続手続きで、こういった書類を集めて相続人の探索と特定をしていきます。

では、アメリカのように戸籍がない国の場合は、代わりにどのような書類を集めればいいでしょうか?

戸籍の代わりに使われるアメリカの公的証明書

アメリカには戸籍が無いので、相続手続きの際は、死亡証明書(Death Certificate)、出生証明書(Birth Certificate)、婚姻証明書(Marriage Certificate)などをつなげて身分関係を証明します。

また、ときどき日本からアメリカに渡りアメリカで死亡しているのだが、日本の戸籍に死亡の記載がされていないため、その記載を戸籍にするために死亡証明書を取得することもあります。

死亡証明書(Death Certificate)

アメリカで死亡した事実は、死亡した州で死亡証明書を取得して証明します。

死亡証明書には死亡した人の氏名はもちろん、死亡日、両親の氏名などが載っています。また、相続では相続人になる配偶者の有無の確認が必要ですが、死亡証明書には婚姻状況(Marital Status)として次のような情報が記載されています。

Single、Never Married独身、結婚したことはない
Married婚姻している
Widow夫に先立たれた女性
Widowed配偶者に先立たれた

このステータスがMarriedだと、配偶者の氏名も記載されています。それ以外の場合は、現在は配偶者はいないということです。

また、州によっては死亡届の届出人が載っていることがあります。この場合には、届出人の氏名だけではなくて、関係(例えば「子」のような身分関係)や届出人の住所も記載されています。届出人の関係によっては、相続人を探索する手がかりになることもあります。

出生証明書(Birth Certificate)

出生証明書には、両親の氏名が記載されいるので、親子の関係を証明することができます。

被相続人に子がいる場合には、その子の出生証明書で親子であること(相続人であること)はわかります。

出生証明書を取るには、出生した子の氏名から検索して証明書の交付を受けます。したがって、子の名前がわからないと出生証明書は取れません。ときどき、親の名前から子の出生証明書を探せないかとの問い合わせを受けますが、それでは出生証明書は取れません。一度トライしてみたことはありますが、子の氏名、つまり誰の出生証明書が必要かがわからないと出せないと言われました。

婚姻証明書(Marriage Certificate)

婚姻証明書には、婚姻した両当事者の氏名が記載されています。これで、婚姻した事実はわかります。また、婚姻により姓が変わっている場合、婚姻証明書で婚姻により姓が変わったことの証明にもなります。ただし、現在も婚姻中かどうかまでは婚姻証明書ではわかりません。

公的証明書の取得方法

ここで説明したアメリカの公的証明書は、その届出をした州の役所に請求をします。したがって、州がわからないと請求のしようがありません。

請求の方法は申請書を郵送する方法とVitalChekなどでオンライン申請する方法があります。ただし、オンライン申請する場合には詳細な情報が無いと申請できません。例えば死亡証明書を請求する場合には、氏名だけでなく、死亡日や死亡した市までの情報が必要です。こういった具体的な情報が無い場合には、わかる限りの情報を書いて申請書を郵送することになります。

また、証明書は誰でも請求できるとは限りません。州によって申請権限がある人が規定されているので、権限が無い人が請求しても証明書を交付してもらえません。州ごとに申請方法も異なるので、州ごとに手続きを調べる必要があります。

日本で死亡等の事実が発生している場合

日本で死亡等の事実が発生している場合、日本の役所に死亡届や出生届が提出されています。この場合は、該当の市区町村で死亡届記載事項証明書や出生届記載事項証明書を取得すれば、アメリカの役所から証明書を取る必要まではないでしょう。

ただし、米軍関係者の場合、日本の役所には届出がされていないので、この場合はアメリカの州政府ではなくて、国務省に証明書の請求をすることになります。

神戸リーガルパートナーズのサポート内容

司法書士国際法務.com運営の司法書士事務所神戸リーガルパートナーズは、アメリカの死亡証明書等の請求のサポートをしています。必ず取れるとは限りませんが、お困りの方はお問い合わせください。

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