LGBTという言葉を聞く機会が増え、同性のカップルに対する社会の認知も徐々に広まっています。
ただ、LGBTのカップルで外国人の方が日本に滞在する場合には在留資格の問題が出てきます。日本では同性婚が認められていないために、異性のカップルとは異なった取扱いを受けます。
ここではLGBTカップルの在留資格について説明します。
外国人同士のカップルの場合
本国で法的に有効に婚姻が成立している外国人同士のカップルで、片方の方が仕事の関係で就労できる在留資格を得て日本に駐在し、もう片方の方が扶養される形で来日を希望される例で考えてみましょう。
異性のカップルの場合、扶養される家族には家族滞在の在留資格が付与されます。
家族滞在は、扶養されて一緒に生活する家族に対して与えられる在留資格で、配偶者の場合は婚姻が有効に成立していることが要件になります。そうであれば、同性のカップルでも本国で有効に婚姻が成立していれば、家族滞在の在留資格が与えられそうですね。
しかし、日本の法務省は同性のカップルで扶養される配偶者に家族滞在の在留資格を付与していません。その代わりに特定活動の在留資格が付与されます。
家族滞在も特定活動も活動できる内容に差はないので、実質的な違いはないのですが、「家族として滞在する」という在留資格ではないので、その点は残念に思われるかもしれません。
また、扶養されるのではなく、それぞれが仕事をする場合には、それぞれが就労できる在留資格を得る必要があります。これは、異性カップルもLGBTのカップルも違いはありません。
日本人と外国人のカップルの場合
日本人と外国人のLGBTのカップルの場合は、かなり問題です。
日本人の配偶者の在留資格を得られればいいのですが、日本は同性婚を認めていないので、LGBTのカップルでは日本人の配偶者の在留資格を得ることができません。
外国人の方が働く場合は、就労できる在留資格が必要です。就労できる在留資格は、仕事の内容によって細かく分かれており、どんな仕事でもできるわけではありません。また、仕事に合った在留資格が無い場合には、在留資格を得ることができません。
逆に、日本人の方が働き外国人の方が扶養を受ける場合、該当する在留資格がありません。つまり、日本には滞在できないということです。外国人同士のカップルだと特定活動の在留資格を得られるのに、日本人と外国人だと特定活動も得られないのは差別的な扱いのようにも思いますが、日本は同性婚を認めていないので、日本人とのカップルではこのような結論になってしまうようです。
状況は変わりつつある
日本で同性婚が認められていないために、在留資格では上記のような取扱いになっていますが、少しずつ状況は変わっているようです。
在留資格が得られないために来日して長期間オーバーステイとなっていた同性カップルの外国人の方に対して、法務省が在留特別許可を出し、定住者の在留資格を付与した例が最近あります。
法務省は、「長年日本に居住している(定住している)事実を認めたのであり、同性婚を認めたわけではない」と説明していますが、今後このような例が増えてくれば、在留資格のあり方も変わってくるかもしれません。